なか仙寄席通信第20号

Filed Under (Uncategorized) by admin on 09-10-2010

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「長屋」や「質屋」が分かる客がだんだん減ってきた、と嘆く噺家は多い。北海道でいえば、たしかに長屋は旧産炭地の「炭住」くらいしか残っていない。だから本日の枝光師匠の二席の大ネタ(『不動坊』『質屋蔵』)もその背景がどこまで伝わるかやや気になるが、その一方で質屋のほうはこの不況で逆に繁昌しているとも聞く。「リサイクルショップ」も増えている。
私も質屋には随分お世話になった。若い時分にニコンの一眼レフを流した時には泣きましたなあ。思い出すだに口惜しい。そんな〝気〟がカメラに乗り移り、新たな持ち主が撮した写真にはそこにいるはずのない私の坊主頭が……てなことはないと思いますが、てなことだらけなのが大阪のとある質屋の三番蔵――。

毎晩蔵に化け物が出るとの町内の悪評を聞いた旦那がある日、蔵の調査探索チームを結成、気の弱い番頭と手伝いの熊五郎を派遣するが……。見せ場とハメモノ(音曲)がたっぷり入った本日のトリネタ『質屋蔵』は、東京では名人三遊亭円生が得意とした噺。ネタ下ろしから約一年、枝光師匠が満を持して高座にかける上方噺の大ネタを、おなじみの『鹿政談』、先日の開進亭でネタ下ろししたばかりの『不動坊』とともにどうぞ存分にお楽しみを。

さて、早いもので次回11月20日の「なか仙寄席」が今年最後の寄席となる。出し物は、枝光師匠一年半ぶりの再演となる冬の人情噺『帯久』と他二席。
『質屋蔵』が個人の借金にかかわる噺なら、『帯久』は大店同士の融通のし合いがやがて奉行を巻き込む大事件に発展する物語。「ああこんな経営者いるいる」と思わず頷くような、せちがらい世のリアルな描写が聴きどころだが、人を救うのもまた人という年の最後にふさわしい人情噺でもある。
皆様お誘い合わせのうえ今年最後のなか仙寄席にどうぞお越しください。寄席の後の宴会はちょっと早めの忘年会っぽくなるかも……。

(土肥寿郎/「なか仙寄席」世話人)

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